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次回いよいよ最終回! 7665日の物語 31

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小説
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あの時君がくれたファーストキス、僕には勿体なかった。。。

僕は君のお兄さんでありたいって常に思っていたんだ。。。

いつでも守ってあげられる絶対的に兄にならなきゃって思った。でもこんな

にボロボロになって芋虫みたいに這いつくばって、みっともないよね。

そんな奴から結婚を申し込まれてもね。。。ごめん。。部屋にもどるね。』

そう言うと彼女の部屋の扉が勢いよく空いて、振り向きざまにバチンと

平手で左頬を叩かれた。彼女は泣いていた。。。

『もう、やめてよ。。。そんなこと言われたら本当に嫌いになっちゃう

じゃん。。。』      

『ごめん。。。』

『謝らないで!!何で謝るのよ!!私のキスがもったいないなんて、私の

気持ちはどうなるのよ!!じゃあ逆に聞くけど、風間君私に言ったよね、

「生きてる意味が解らない」って!その時私、なんて答えたか覚えてる?』

『うん。「風間君が居てくれる事。それが意味だよ」って言ってくれた。』

『わかってんじゃん!!風間君は私の全てなの!!ケガしても入院しても

どれだけ格好悪くても、いつも傍で私を守ってくれる大切な人なの。

貴方こそ、私の身体の一部なの。お父さんと2人で私を守って入院させちゃ

ったとき、私すごく悔やんだよ!私さえいなければ!!って。でも風間君

言ってくれたじゃん!「君を守りたい、守らなきゃって思えたから、

多分いつもよりも2人とも強かったんじゃないかな(笑)だからこれで

済んだんだよ。生きてるもの。君のせいでケガをしたんじゃない。

君が僕と師匠を助けてくれたんだよ。」って!!あれは嘘だったの?』

『いや、嘘じゃない。本気で言った。』

『じゃあ何で「もったいない」とか「みっともない」とか言うのよ!!世界

で一番大切な人からそんな事言われる人間の気持ち、ご両親無くしてる風間

君ならわかるでしょ!!!』

僕は黙ったまま彼女に近づき、抱きしめた。そして抱きしめたまま言った。

『君に謝るのはこれが最後だ。君の気持ちも考えず無神経な事を言った。

そして本当に大切な事を全く理解していなかった。最後に、

その一番大切な女性を傷つけてしまった事を許してほしい。。。』

 【 茜 さ ん、僕 と 結 婚 し て く だ さ い 】

『風間君のこと、嫌いになんてなれるわけないじゃん!!!ずっとそう

言ってくれるの、待ってたんだから!!!』

そう言って彼女は泣いた。僕は彼女の頭をなでながら、抱きしめていた。

『今夜はいっしょにいて・・』 そう彼女にうながされ、僕は初めて彼女の

部屋で一夜を過ごした。

翌朝、師匠とお母様に改めて2人揃って挨拶した。師匠はニコニコと笑い、

お母様は涙ぐんでいた。ささやかな身内だけの結婚式を行い、我々は晴れて

夫婦になった。今まで以上に苦しみも楽しみも分かち合う仲となった。

もうすぐ26歳になろうとする2人の新しいスタートである。僕達は実家から3

駅離れた場所にある、中古でリフォームしたての一軒家に住むことにした。

師匠は『ここに住めばいいじゃねーかー』 と言っていたが、彼女が僕との

2人生活を望んだのだ。夫婦生活はとても円満、むしろ独身の時となんら変

わらない。変わった事と言えば茜の名前が「風間 茜」となり、部屋も別で

はなく一緒に眠れるようになったことくらいだろうか。仕事も順調で僕は

ネクタイを締めてスーツを着て仕事に向かう立場になっていた。毎日がすご

く新鮮で幸せだった。同じ屋根の下で育ったとはいえ、部屋は隣同士だった

ものが今は真横にいる。横で寝息が聞こえる、手を繋いで眠る事が出来る。

同じ「ただいま」「おかえり」でもこんなに違うものなのか。。。

健康になった、娘が嫁いだ、幸せに暮らしている、ただ一つご両親の願いを

叶えられない事があった。

僕たちは子宝に恵まれなかった。原因は僕の方にあり、恐らく生まれた時

から自らの遺伝子を作り出す機能が欠如していたようだ。原因を調べてみる

まで分からなかった。一縷の望みを掛けて数値を調べると、子供が出来る

確率はゼロだと言われた。彼女に受け渡せる僕の遺伝子がゼロなのだ。

それなら万が一にも可能性もないわけだ。彼女に申し訳ない気持ちになった

が、『言ったでしょ、貴方が居てくれる事が大切なの』という彼女の言葉に

またしても救われた。子宝にこそ恵まれなかったものの、半ば兄妹のように

育ってきた2人である、良い所も悪い所も知ったる2人である。ケンカをする

事などなく、むしろ結婚する前の方が波乱万丈だっただけに平和な日々を過

ごしていた。「結婚すると愛が冷める」なんて話を聞いたことがあるが、

我々の場合はむしろその逆で、傍に居ながら結ばれることを許されなかった

2人が長い年月を経て結ばれたのだから、愛情は深まるばかりだった。 

そんなある日、「師匠が倒れた」というお母様からの電話があった。高血圧

が原因の様で、1ヶ月ほどの入院加療が必要との診断だった。僕達もすぐに

病院に駆けつけたが、師匠はかわらずお元気で『なんてことねぇよ(笑)』

とケラケラ笑っていたが、浴槽の中で気を失っていらっしゃったところを

お母様が発見し、救急車で運ばれたそうだ。主治医から

① 血圧降圧剤を服用する事

② お酒の量を控える事

③ 禁煙する事

キツイことだらけの条件を出されたと師匠はボヤいていたが、師匠の師匠

であるお母様が一緒に居てくださるのだから大丈夫だろう。脳の血管が切れ

たとか脳梗塞を併発したとかいうのではなく、純粋に高血圧による一時的な

ヒートショックで、後遺症もなく退院できそうだ。

茜は変わらず道場で師範として教えているが、師匠がいらっしゃらない間は

ちょくちょく実家に帰ってお母様が寂しくない様にすることとなった。

平日でも実家に泊ってくる日もあり、僕は夕食を戴きに実家に寄って、自宅

に帰って寝る。そして翌朝洗濯機をまわして出社するという日が何日か

あった。雨が続く日は経済的な事を考えれば、実家に洗濯物を持って行って

洗ってもらうことが望ましいのだが、僕は車を持っていなかったので洗濯物

を袋に入れて電車で3駅・・・というのに抵抗があり、コインランドリーで

乾燥までやって、フカフカを持ち帰って畳むということをしていた。

夫婦合わせてもそんなに裕福ではなかったが、子供がいなかったので

これくらいの贅沢をしてもたまには許された。コインランドリーが贅沢とは

今から考えるとかわいいものである。

お母様も血圧は高い方で、時々フラフラする・・・ということがあったの

で、実家が近く娘がすぐに帰る事が出来る環境は、お母様にとっても気が楽

だったと思う。師匠入院中でお母様もフラフラする時は「泊っていくね」と

2人が初めてを迎えた部屋で寝ているようだ。その時の事を思い出すと

気恥ずかしい・・・(笑)とはにかんでいた。

いつものように仕事を終え、実家で3人ですき焼きをした。

『懐かしいね(笑)』『あの時もお父さん居なかったね(笑)』なんて昔話

をしていたらすっかり遅くなってしまって終電を逃してしまった。

「龍二さんも泊っていきなさいよー」と誘われたが、久し振りに歩いて帰る

のもいいかなと思い、「男だし心配ないから歩いて帰ります!」と実家を

出た。

『 大変な勉強ともサヨナラ!!心理学に基づいたこの考え方 をマスターすれば、学校の成績 も確実に UP する ! その考え方とは』 のこたえ!!!|りゅうこころ ryukokoro
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