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7665日の物語 18

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小説
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むしろ、「先輩にもらった大事なシューズ」の方が気になった。その時

師匠の家の二階の窓から『うるさいなぁ、誰?』と声が聞こえた。

『あ、すみません!』と咄嗟に答えたが、それはパジャマ姿の茜さん

だった。彼女は顔を真っ赤にして『ど・どうしたんですか?』と

寝ぐせではねた髪を抑えながら言った。事の顛末を手短に話すと、

『ちょっと待ってくださいね』と言って窓を閉め、階段をトントンと降りて

くる音がした。玄関からそっと顔をのぞかせた彼女は白いカーディガンを

はおり、マスクをしていた。『ごめんなさい。風邪でお休みでしたか?』

『いいえ、起きていましたが母が帰ってくるまで大人しく寝てなさいって

言うものですから・・・』昨日とは別人だ。「あんた」とか「ねーだろ!」

なんて言いそうにない、赤いフチの眼鏡をかけた清楚な女性がそこには

いた。僕は思わず見とれてしまった。黒く長い髪に透ける様な白い肌、

頬にはほんのりと赤みを差し、かわいらしいスリッパをはいて僕の目を

じっと見ている。そしてすごくいい香りがする。

『え?え?なんですか?顔に何か付いてますか?』

『あ、ごめんなさい!!すごく綺麗だったので。。』思わず口からでた。

昔からそうなのだ。悪口とか悪戯に人を傷つけてしまう様な言葉は極力

言わない様にしているのだが、「綺麗」とか「美しい」とか賛辞の言葉は

口に出てしまうのだ。『えっ?!』『あっ!!』二人が口をそろえたように

声を出した。彼女は恥ずかしそうにうつむいてしまった。。。

『ご、ごめんなさい!! 師匠帰られるまで走ってきます!!』

『ちょっと待って!!』失礼な事を言ったから叩かれる!そう思った。

『あの。。靴の紐。。』そうだった。靴の紐が切れて蹲ったところに2階

から茜さん登場だった。『ああ、大丈夫です。慣れてるので(笑)』

もはや意味が解らない。僕はいったい何に慣れているというのだ?

『これ、、よかったら。。。』彼女が赤い靴ひもを僕に手渡そうとした。

見た感じ2足分ある。薄汚れた元は白いスニーカーには勿体ないほどの

綺麗な赤い靴ひもだった。  『い、いや、大丈夫です!!』

『そうですよねごめんなさい。男の人が赤の靴紐って恥ずかしいですよね』

『い、いや!決してそういう意味じゃなくて、あの、えっと、ありがとう

ございます!』こんな経験初めてだ。僕は急いで靴紐を受け取ろうとした。

一歩出す脚が違う!!切れた紐の方で踏み出したら。。。『おっと!!』

左手は彼女の手を握り、彼女はよろめいた僕の体を受け止めた。何とも癒さ

れる香りに包まれ、これが空手家の手なのか。。と疑わしいほど可憐で、柔

らかく当たった肩の感触が忘れられない。一瞬の出来事だったと思う。でも

それがすごく長い時間の様に錯覚したのは、そのタイミングでお母様が帰っ

てこられたからだ。『おやおやー?(笑)』僕は瞬時に一歩後ろに跳んで

下がった。『も、も、申し訳ありません!!』なぜかお母様に90度の最敬礼

をしていた。『うふふ(笑)風間さん、茜は嫌がっていませんよ(笑)』

その言葉に二人とも凍り付いた。  『何言ってるのお母さん!!』

『だってその靴紐、茜がこの間(やっと見つけた!)って買ってきた物で

しょう?それをあげちゃうんだー。ふーん(笑)』

『しょうがないじゃん!風間さん靴紐切れて誰もいなくって、よろめいた

んだから!!』

『ふーん、そうなんだー(笑)、へー(笑)』お母様は楽しんでいる。

『風間さん、今日主人出張で帰らないの。茜もこんなんだし、加藤さん病院

行くって言ってたから道場お休みなの。ごめんなさいね(笑)』

『えっ?!! 加藤さんそんなにケガ酷いんですか??』

『いや、あの・・・茜、言っていいかな(笑)』

『・・・いいと思う』

『加藤さん、痔なの。だから。。。ね(笑)』

『あ、はい!では加藤さんのお尻は大事にします!!』その言葉に

『あはははは!!(笑)』茜さんとお母さんは目を見合わせて笑った。

『折角来たんだからご飯食べていきなさい。』お母様は言った。

『ありがとうございます。折角のお誘い恐縮ですが、師範不在の折に

女性だけの家に上がり込むわけには参りません。嬉しいのですが。。』

『やっぱりそういうのね、風間さん(笑)』奥様と茜さんはフフと笑った。

『昨日ね、「明日絶対風間君来るぞ。来たらすき焼き喰わせてやれ」って

あの人に言われてるの。それにね、私の方が実は段位上なのよ(笑)』

『・・・え?』

『だから、お父さんの師匠はお母さんなの(笑)』茜さんが笑顔で言った。

『お、押忍!失礼しました!そういう事でしたらお言葉に甘えさせて

いただきます!』

『ええ、どうぞどうぞ。ただし風間君、私や茜に「押忍」はナシね ♪』

『はい、ありがとうございます!!』

『ついでに泊まっていく?茜の部屋泊まれるわよ(笑)』僕は噴き出した。

『ちょ、ちょっとお母さん!!!』茜さんも真っ赤になっている。

『冗談よ、若いっていいわね。風間君、茜は風邪ひいてるから水触らせたく

ないの。手伝ってくれる?』

『押忍! あ、いえ、はい。』 また僕は最敬礼していた。

家族水入らずの夕食なんて、僕の記憶には残っていない。白菜を切り、

シイタケの石づきを取り、ニンジンに飾り包丁を入れる。施設では何でも

やってきたから、これといって特別な事では無い。

『すごーい、風間君何でもできるのね!!』

『いや、施設でやってますから。普通です。。。』

『男の人が台所に立つ姿ってもてるわよー!ねー、あ・か・ね!お父さん

何にもしないもんねー、ケンタッキー食べるだけで(笑)』

『本当だよー。男の人が立つと台所のシンクって低いんだね・・・ハッ!』

お母さんの誘導にはめられたことに気づいたのだろう。赤くなって黙って

下を向いてしまった。。。気まずいけどなんと居心地の良い事か。

僕は家族ではないが、家族水入らずという感じ。なんだかすごく羨ましい。

お腹いっぱいご馳走になり、洗い物も一緒にやって、最後にリンゴの皮

誰が一番切れずに長く剥けるか競争が始まった。茜さん脱落。

お母様と僕の一騎打ちとなった。最後の方はどんどん細くなり、プツンと

切れて僕は負けてしまった。

『お母様、流石です!!』

『いえいえ、風間君に言ってなかったけど、私も剛柔の出なのよ ♪』

『え・・・?!』 このお母様には本当に驚かされ続けている。。。

師匠の師匠で、剛柔出身で。。。ってことは?加藤さんや茜さんとの試合も

全部わかって見てたって事か!師匠が見て笑っていたのは知っていたけど、

お母様もか!! 全てを見透かされている気分になった。でも悪くない。

リンゴで作ったウサギリンゴを食べながら、静かに揺れる風鈴を見ていた。

『 大変な勉強ともサヨナラ!!心理学に基づいたこの考え方 をマスターすれば、学校の成績 も確実に UP する ! その考え方とは』 のこたえ!!!|りゅうこころ ryukokoro|note
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