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7665日の物語 20

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小説
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掛け声が早いか動きが早いか、師匠と僕は一気に間合いを詰めた。師匠の

右手刀。左廻し受けからの僕の前蹴り。身体の反応するままに動いていた。

もちろん寸止めではない、お互い当てている。気持ちで負けた方が敗者だ。

奥様はじっと様子を伺っている、止めない。こうなったら止まらない事を

知っているのだ。「ボコッ」「ガキッ」と鈍い音が道場に響く。

何分くらい互いに突き蹴っただろう。最後は師匠の後方かかと落としが

僕の右肩に当たったところで僕が膝をついた。『そこまでーーー!!』

互いに下がって礼をし、お母様にも『押忍!』と礼をした。

『見せてみなさいな』そういうとお母様は僕の道着をめくった。

『肩、外れてるねぇ(笑)』そういうと「ガキッ!」という音と共に右肩を

入れた。

『風間君、外れ癖あるでしょ?』

『押忍、あります。』

『だから左前構えかぁ』お母様は僕が右肩をかばっているのを見抜いた。

『アイシングする前に2人とも汗だくなんだから、生徒さん来る前にお風呂

入ってきて!』 『押忍!!』 また声が重なった。

道場のお風呂はもちろん初めてだ。。。いやぁ、こんなに広いのか。。。

下町の銭湯並みに広い。『師匠、でかいっすね。。。』『せやろ!!!』

師匠は得意そうに笑った。

『若い衆入れてやる為によ、風呂はでっかく作ったのよ!!』

檜造りの立派な浴槽である。入浴剤の香りが死闘を癒してくれる。。

不思議なものだ。さっきまでやり合った二人が浴槽に浸かっている。

『風間君、どうよ!!』

『押忍! とても大きくて素敵なお風呂です!』

『そうじゃなくて、茜だよ!(笑)』そう言うと師匠にバシャバシャと

お湯を掛けられた。

『ど、どうと言われましても。。。素敵なお嬢さんだと思います。。』

『あいつ、まんざらでもないみたいだぞ?鏡の前に居る時間が長い(笑)』

『いえ、自分は決してそんな。。。』

『隠さんでもいい(笑)俺の友達が刑事課にいてな、君の事をいろいろ

聞かせてくれたよ。ガキの頃に辛い目みたってな・・・』

『押忍・・・』

『電話しとくからよう、明日からここに住め!!』

『えっ?!?!?!?!?』 あまりの唐突なご意見に僕は固まった。

『茜な、兄貴がいたんだよ。病気でな。。。』ぽつりと師匠が話し出した。

『兄貴想いのヤツでな。毎日病院お見舞い行ってたけど帰ってきたら骨だ』

返す言葉が見つからない。。僕はうつ向いて話を聞いていた。

『綺麗な空手やるヤツでなぁ。ジュニアオリンピック出てんだよ。』

どこか誇らしげに、でも寂しそうに師匠は続けた。

『兄貴亡くしてからアイツ、猛稽古してな。女だてらに今じゃ有段者だ』

『押忍。。。』

『あいつよ、おめぇさんに突っかかった時もそうだけど、危なっかしい

からよ、何かの時は・・・頼むわ(笑)』

師匠がぺこりと頭を下げた。

『そんなそんな、勿体ない!押忍、ありがとうございます!!』

『じゃあ、先に出てるからよ(笑)』そう言うと鼻歌交じりに師匠はタオル

を肩にかけ、風呂場を出て行った。すぐさま声が聞こえた。

『お父さん!!ちゃんと履いて出てっていつも言ってるでしょ!!!』

『いいじゃねぇか、減るもんじゃあんめえし!!』茜さんの声だ。

僕はそれから15分ほどで風呂を出た。まさかその15分の間に師匠が施設と

話を付けてくれているなんて思いもしなかった。その日は稽古を終え、

施設に帰り、翌朝いつも通りに早朝の新聞配達に向かった。

『おはようございます!』

『あ、おはよう風間君!突然だけど、君今日で卒業ね。』

『え・・・』

僕は言葉を失った。何か粗相をしただろうか。お客様から苦情の電話があっ

たのか・・・いろいろ考えた。

『あー、ごめんごめん。心配しなくていいよ、説明するね。えっと先ずチラ

シの折り込みはこの機械がやってくれることになった。だからチラシを折り

込むことを人間がやらなくてもいい。ラクチンだろ?(笑)それと君が今ま

で頑張って働いて払ってきた学校の費用、これからは払わなくてもよくなっ

た。って事で今日までご苦労さん。あ、今日はちゃんと配達頼むよ。』

「機械が入ったからチラシを手で織り込まなくてもよくなったのはわかる。

授業料稼がなくてもいい?その意味が解らない。それに突然のクビ・・・」

何がどうなってるのかわからないまま配達を終え、新聞店に戻って僕は

訊いた。

『あの、大変お世話になっていてこんな事聞くの申し訳ないんですけど、

僕なんでクビなんですか?』

『あー、それはねー、うーん・・・言わないでくれって言われてるんだよ

ね。。。まあ、じきにわかるから(笑)悪い事じゃないからさ。時々遊びに

来てよ(笑)』

そう言われ、『はい、それではありがとうございました。。。』と僕は

学校に行った。「なんでクビなんだろう。。。」ずっと考えながら。。。

学校について同じクラスだと聞かされた茜さんを探した。

「あれ・・・茜さんがいない。まだ風邪治ってないのかな?」

そんな事を思いながらウトウトして、終業のベルと同時にダッシュ

で道場に向かった。

『 大変な勉強ともサヨナラ!!心理学に基づいたこの考え方 をマスターすれば、学校の成績 も確実に UP する ! その考え方とは』 のこたえ!!!|りゅうこころ ryukokoro|note
まず、このページに来てくれたあなたの選択は正しい!!ロジックの変革にこそ!!そして心理学士が教える勉強法にようこそーーー!!歓迎します! 会社経営の傍ら、心理カウンセリング・コンサルタント講演・コンプライアンスに基づく講義なども行っています、りゅうこころです。ryukokoro 『 大変な勉強ともサヨナラ!!心理...
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