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7665日の物語 26

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小説
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翌朝いつも通りジョギングと柔軟をしてシャワーを浴び朝食を食べ、

僕達は学校へ向かった。朝礼の中で先生から出た言葉。

『えー、3年生の皆さんは本格的に進路を決める事になるのですが・・』

そうだった!どうしよう!国立大学に行けるほど偏差値の高い高校でもない

し、受験対策勉強なんて全くしていない。そもそも茜ちゃんはどうするつも

りなんだろう?そんな事をモヤモヤと考えながら学校での1日は過ぎ、一緒

に帰る道すがら、僕は茜ちゃんに聞いてみた。

『茜ちゃん、高校出たらどうするの?』

『うーん、親が大学行っとけっていうから行こうかなーって。風間君は?』

『僕は大学側が「無料でいいです」っていうのなら行こうかな(笑)』

こんな話をしながら家に帰る途中、段ボール箱に入れらた一匹のネコが

ミーミーと泣いていた、捨て猫だ。僕と茜ちゃんは速足で駆けつけ、

「かわいいねー」と抱きかかえて言った。

『君の名前はネロだよ!!』 

なぜ「ネロ」なのか判らないが、彼女が「ネロ」と言ったのでそうなった。

そうして、「こっそり飼おう!」と連れて帰った。

「産まれてすぐ捨てられた」という大きさではない。愛らしい子猫だ。

とはいうものの、何を食べさせていいのか、トイレはどうするのかなど

ペットを飼った事ない2人だ。彼女はカバンに入れてこっそり部屋に持ち帰

り、僕は図書室に戻って「猫の飼い方」を借りてきた。家に帰ってみると

すでにお母さんにバレている。

『あなたねぇ、生き物を飼うって事がどれだけ大変な事か解ってるの?』

『でもさ、あのまま置いといたら死んじゃうかも。。。』

『ほかの人が拾ってくれるわよ、元の所に戻してらっしゃい』

『だってこんなに懐いてるんだよ?ほら、可愛いし。。。』

何処の家でも動物を拾って来たら行われる親子の会話である。

『学校行ってる間はどうするの?』

『そこはほら、もっと家のお手伝いするからー』

『そんなこと言ったってー・・・』

『お母さんも子供の頃、猫飼ってたって言ってたじゃん』

『それはそうだけど、今は他にも面倒見なきゃいけないし・・・』

茜ちゃんの空気が変わった。。。。

『・・・お母さん、それって風間君の事言ってるの?』

『違う違う(笑)町内会長をやる事になったからって話よ(笑)』

『よかった!じゃあさー、町内会費集めるのとか手伝うからーー!』

『んもう、お父さん!!茜が困った事言ってるんだけど・・・』

『いいじゃねぇか、ちゃんと面倒見るんだろ?』

『もちろんよ!途中で投げ出したりしないもん!』

『じゃあ、いいんじゃね?風間君も巻き込んでよ ♬ 』

『わーい、お父さんありがとう!!』

全く、父親というのは娘には甘いものだ。。。

ここからが大変だった。ご飯に鰹節のネコマンマ的なものは食べるとして、

トイレの躾が出来るまであっちこっちでするし、フンの中から寄生虫が

出てきては獣医さんで虫下しを貰ってきて飲ませ、予防接種、避妊など

結構お金のかかるものだ。まぁ、命が救えたのだから安いものだ。

猫の成長は早い。そうこうしている内に身体は大きくなり、トイレも

ちゃんと出来る様になり、寝るときは茜ちゃんの布団で寝るというサイクル

ができた。流石に道場には来させなかったが、家の中を縦横無尽に走り回り

爪とぎ用のマットがあるのに壁でバリバリするし。。それでもみんなから

愛されて育って行った。カリカリのネコフードを好んで食べ、毛づくろいを

してはケロッと吐き(猫は吐くものだ)片付けている傍から「お腹すいた」

と鳴く。それでも我が家のマスコットとして家族全員から愛された。

高校生活も終盤に差し掛かり、茜ちゃんは外語大への進学が決まった。大学

に通いながら空手師範の免状を取得していた彼女は「道場で子供を教える」

というアルバイトをすることになる。僕は某有名私立大学から成績優秀者と

言う事で入学金・学費免除というこの上ない素敵なお誘いを受けていた。

ただ一つ問題は、場所が遠く離れた東京だということだ。

『いいじゃねぇか、行ってこい!!』

師匠の一言であっさり決まった。そういえば僕がお世話になるときもネロを

飼うか飼わないかの時も、師匠の一言で決まったのだった。

僕たちは高校を卒業し、晴れて大学生となった。彼女は家から通うことがで

きたので通い、僕は東京で寮生活の傍らアルバイトをした。まだ携帯などな

かった時代だったので寮の電話で茜ちゃんと話し、手紙もいっぱい書いた。

大学では空手部に所属し、帰省しては師匠にたっぷりしごかれた。3年が経

ち、ネロも立派な大人になった。僕も茜ちゃんも大学3年生。遠距離恋愛に

なるので普通は「他に好きな人が出来ないだろうか・・・」などと心配した

りするのだろうが、僕達に限っては全くその心配はなかった。恋愛というよ

りはそれを通り越して夫婦のような感覚だった。さて、あと1年で卒業とい

う時に東京の寮にいる僕宛に大学から手紙が来た。「大学4年生という節目

に当たり、大学卒業という学位を収めていただきたく、授業料が必要・・」

という様な内容だった。僕はあっさりと退学届けを提出し、家に帰る事にし

た。「大卒」という肩書に何の未練もなかったし、周囲はキャンパスライフ

をエンジョイしているが、僕にはそんな暇はなかったし、何より僕は予習型

なので授業がつまらなくなってしまった。もっと奥深く研究すれば学ぶこと

も沢山あったとは思うが、そこまで研究するくらいなら早く働きたい!と思

っていたからだ。突然家に帰り事の顛末を報告したところ、師匠に激しく叱

られた。

『大学行かせるのによぅ、1人も2人も一緒なんだよ!!何で大卒取らなかっ

た!!』

と。この世代の方は『大学卒』という肩書でステータスだったし、自分達が

行く事が出来なかった分だけ行かせてあげたかったのだろう。

ありがたかったが自分の考えと気持ちを説明したら理解はしてくれた。

茜ちゃんは残りの1年間大学に通い、僕は営業職として働く道を選んだ。

営業を選んだ理由は簡単である。「初任給が高い・歩合給がスゴイ!」だ。

因みに僕の仕事は世に普及し始めた携帯電話を販売する事だ。最初はいくら

足を運んでも全く売れなかった、1台10万円近くと高かったからだ。

会社を周り買ってくれそうな社長さんに話をしようにも、簡単に社長さんに

繋いでくれるはずもない。そんな時僕に追い風が吹いた!!

メーカー各社が新しい機種をいっぱい出したのだ。しかもお値打ちに。

お客様からすると「高くて買えなかった携帯電話」が、「割と安く買える、

どこの機種にしようかな」に変わった。こうなったらこっちのものだ。

携帯電話販売には大きく分けると2通りの儲け方がある。

① 機種代金を高くしてその場の現金で儲ける方法

② 機種代金を激安にして沢山使ってもらい、通信料で儲ける方法

僕は②を選択した。従業員数の多い工場や営業さんの多い会社を周り、

『今なら1台100円です。皆さんに持ってもらえたら確実に連絡が取れます』

と。会社から「お前には静岡県を任せるからショップ立ち上げて1ヶ月に、

300台売ってこい!」と指令が出ていたが、2日で目標達成してしまった。

次の月のノルマは500台!楽勝だった。その次の月は800台!これも達成。

同じ営業メンバーが「どうやったら売れるの?まだゼロなんだけど・・・」

と言っている中、「もういい、管理職として本社に戻ってこい」と辞令が出

た。

『 大変な勉強ともサヨナラ!!心理学に基づいたこの考え方 をマスターすれば、学校の成績 も確実に UP する ! その考え方とは』 のこたえ!!!|りゅうこころ ryukokoro
まず、このページに来てくれたあなたの選択は正しい!!ロジックの変革にこそ!!そして心理学士が教える勉強法にようこそーーー!!歓迎します! 会社経営の傍ら、心理カウンセリング・コンサルタント講演・コンプライアンスに基づく講義なども行っています、りゅうこころです。ryukokoro 『 大変な勉強ともサヨナラ!!心理学...
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