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7665日の物語 7

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小説
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僕は言われた通り、愚直に実践した。呼吸を整え、肺にあるすべての息を

全部吐ききり、ゆっくりと大きく息を吸って、おへその下あたりにグッと

力を入れて『 押忍!! 』と発した。

自分でも出した事ない所から声が出たような感じがした。例えるなら自分の

   

中の何かが『パン!!』と大きな音を立てて弾けたような感覚だった。

   

周囲が静まり返った。なるべく目立たない様に卑屈に生きてきた僕が

   

目立つことをしてしまった。また後でいじめられるに違いない。。

   

一瞬でそんな事を考えて思わず下を向いた。

   

『君、すごいじゃないか!! 初めてなのに息吹が出来てるぞ!!』

   

『イブキ・・・ですか?』後に空手の段位に座り、この息吹を子供達に

   

教える事になるなんて全く想像だにできない自分がそこにはいた。

    

『君、空手やってみないか?』

   

『無理ですよ。僕小さいし・・・』

   

『男の子の体が大きくなるのはこれからだ!よし、上着脱いでみろ』

   

『嫌ですよ、寒いし。。何で僕だけこんなところでもいじめられなきゃ

   

いけないんですか!!』

   

そういうと、『やっぱりか。。。』とその若い空手家は僕に言った。

   

『いいかい?僕が上着を脱げと言ったのは、恐らく君が日頃からいじめに

   

あってて、身体のアザや傷を確認したかったからだ。ほら、脱いでごらん』

   

それを聞いて「この人達なら自分を助けてくれるのではないか・・・」と

   

思い、言われたように服を脱いだ。上半身アザだらけ。カッターナイフで

   

切りつけられた傷や、画びょうを押し付けられてできた傷など。顔を狙うと

   

傷が目立つから、いじめられるときはいつも上半身や下半身で。だから顔は

   

傷がないのだ。この事を空手家は見抜いて見せた。

   

『君の弱さは体形じゃない。心が弱いんだ。心の強さとは誰かに勝つ!

   

とは違うんだぞ?自分自身に勝つ。誰かを守る。守らなければならない時に

   

守るんだ。究極の武道とは闘わない事だ。』

   

僕はこの言葉に心臓を貫かれた思いがした。両親を早くに亡くしてそれを

   

負い目に感じて生きてきたわけではない。ただ、自分自身に誇れるものが

   

何もなかったのだ。だから自信というものがなかった。

   

何も持たずに心を鍛え、「究極の武道は闘わない事」これしかない!!

   

クリスマスの夜、僕はこの空手家の居る大学の部室を訪ねた。

   

皆さんはクリスマスサンタコスチュームの片づけをしていた。

   

『おおー!!早速来たのかい? おーい、みんな来てくれ!新しい仲間だ』

   

「新しい仲間・・・」こんな卑屈に生きてきた中学生をそう呼んでくれた。

   

身が震えた。寒さからではない。僕にも仲間ができた!という喜びである。

   

『仲間になったからには辛い事・嬉しい事全部話してくれないか?』

   

彼はそう言うと、部室に居る屈強な空手家達を全員正座させた。

   

『ああ、君は椅子に座って(笑) 僕たちが君に教えてもらうんだから』

   

何の臆面もなく彼は言い、部員総勢座して真剣に聞こうとしてくれた。

   

僕は喋った。思いの丈を泣きじゃくりながら喋った。あの時涙が出なかった

   

のに、仲間と呼んでくれる彼ら先輩の前では感情が素直に出た。僕が

   

人間に近づけた瞬間だったのだと思う。

   

座して聞いている彼らも主将をはじめ、話を聞いて一緒に泣いてくれた。

   

中学生になって現実を知った。

   

・両親が借金を苦に首を吊って自殺した事。

   

・その時に子猫を助けられなかったこと。

   

・それを知らされずに病院で看護婦さんに優しくされて喜んでいたこと。

   

・両親の死に顔を見ても涙も出なかったこと。

   

・施設で受けてきたいじめのこと。

    

・いじめが怖くて卑屈に生きる道を選んできたこと。

   

・同級生から新聞配達で稼いだ生活費をカツアゲされたこと。

   

悔しかった事、悲しかった事、全部話した。

   

19:30頃から気づいたら22:00くらいまで話していた。

   

2時間半である。誰一人足を崩さず一緒に泣いて聞いてくれた。

   

自分の居場所はここしかない!と人生で初めて自分で決めた瞬間だった。

   

『よし、ミット持ってやる!おもいっきり悔しさぶつけてみろ!』

   

ひたすら叩いた。ひたすら蹴った。こちらが疲れて転んでも起き上がり

   

積年の恨みとばかりに叩いて蹴った。素人の攻撃とはいえ、0時過ぎまで

   

彼らは付き合ってくれた。僕の拳の皮はズルズルに剥け、足の甲も腫れた。

   

でもとても清々しい気分だった。もちろん怪我の処置は彼らがしてくれた。

   

『今はそれでいい。でもな、君の拳には恨みや憎しみがある。明日から

   

通って心を磨きなさい。手足が治るまでの間、ちょうどいい。みんな、

   

仲間をよろしく!!』

   

また「仲間」と言ってくれた。嬉しくて涙が止まらず鼻を垂らしながら

     

渾身の声で「押忍!よろしくお願いします!!」と僕は叫んだ。

     

こういう時いじめっ子に対して「俺には強い仲間がいるんだからな」と

    

なりそうなものだが、僕には一切そんな気持ちはなかった。

    

ただ、己を磨き心を鍛え、人間として強くなりたかった。

     

空手を始めてから1週間で不思議な事が起こり始めた。

   

僕は空手を教わっているなんて一言も口外していない。

   

それなのに、誰にもいじめられなくなった。ふと主将の言葉を思い出した。

   

『いいか龍二。武道家は心に一本の信念というドスをのんでいる。

   

人の役に立ちたいでもいい。誰かにやさしくありたいでもいい。

   

自分の為ではなく、他人に優しくなれ。全てはそこからはじまる。』

   

空手を始めてから当時お世話になった婦警さんを訪ね、子猫の事を聞いた。

   

子猫は結局あのまま息絶えて、婦警さんが埋葬して簡易的なお墓を作ってく

   

れていた。僕は初めて「救ってあげられなくてごめん。もし君が生まれ変わ

   

ってまた出会う事があったら、絶対に救って見せるから」と手を合わせた。

   

毎日毎日、学校に行く前の早朝新聞配達と帰宅後の夕刊新聞配達を最初は

   

自転車、だんだん急ぎ足、そのうち走って行うようになった

   

144㎝しかなかった身長も高校3年生の頃には180㎝・80㎏と見事に

   

鍛え上げられた肉体に変貌を遂げた。空手の全日本大会で優勝し、

   

毎日欠かさず正座して心の鍛錬を欠かさなかった。それを誰よりも喜んで

   

くれたのが、当時の主将だった。

   

そんな恩師ともいえる主将にある日悲劇が訪れた。

   

歩道を歩いていた主将のところに、飲酒運転の車が突っ込んだのだ。

   

『2~3日が山場です・・・」と聞かされた僕は急いで駆けつけた。

   

そこで主将から聞いた最後の言葉。『今度は子猫を助けてやれ…』

   

数年前に話した言葉をちゃんと覚えていてくれた。

   

そしてその言葉には非常に深い意味があった。

   

『己の心身を鍛え、見返りを求めず迷いなく命の為に動け!』だ。

   

車が突っ込んだとき、集団登校していた小学生の列に飛び込み、

   

小学生たちを己が弾き飛ばして車の直撃から守った。とっさの判断だ。

   

後日僕は主将の墓前に手を合わせ、貴方のような人間になります!と

   

『 大変な勉強ともサヨナラ!!心理学に基づいたこの考え方 をマスターすれば、学校の成績 も確実に UP する ! その考え方とは』 のこたえ!!!|りゅうこころ ryukokoro|note
まず、このページに来てくれたあなたの選択は正しい!!ロジックの変革にこそ!!そして心理学士が教える勉強法にようこそーーー!!歓迎します! 会社経営の傍ら、心理カウンセリング・コンサルタント講演・コンプライアンスに基づく講義なども行っています、りゅうこころです。ryukokoro 『 大変な勉強ともサヨナラ!!心理...

宣言してきた。

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