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7665日の物語 3

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小説
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知り合いの獣医に出してもらった、人間でいう粉ミルク。少しだけ溶かして体温位に温め、針の無い注射器みたいなものでゆっくり飲ませる。

 

『いいか、ギャーギャー鳴いても1日に5回までな。』

 

助かってホッとした。とはいうものの、まだ生かし続けられる自信が無い。

 

怖いのだ。。この小さな命をパーカーの中にまるで有袋類であるかのように

 

自分のお腹に包み、静かに眠っている姿を見ていつの間にか夢を見ていた。

 

あれは幼なかったころ。そう、【1】で書いた霧雨の小学生のころ。

 

『うさぎ跳びで校庭2周』していた頃の話。学校からの帰り道にいつも

 

のように野原を駆け回って秘密基地に帰り、帽子いっぱいの拾い集めた

 

ドングリを机と称した大きな石の上に広げた時、防空壕跡の奥から音がした。

 

実は学校から『防空壕跡には近づいてはいけません』と指導があったのだが

 

子供からしたらそんなの知った事では無い。ここを秘密基地と決めたら

 

秘密基地なのだ。

 

何の音?と耳をそばだててみる。。イイイイー 何かそんな風に聞こえた。

 

んー、コウモリかな?と思い子供ながらに暗い方に石を投げてみると

 

ミィ・・・ミィ・・・ と今度は確かに聞こえた。 非常に高い音で。

 

あれ!!猫いるんじゃない? 仲間と見に奥まで入っていくと父さんの

 

緩くなったランニングシャツみたいなものに包まれて子猫がいた。

 

僕らは喜んだ。猫を見つけた事に喜んだのではなく、宝物を見つけた!!

 

という感じだ。ここで仲間同士、緊急首脳会談がはじまった。

 

『ネコちゃん、どうする?』  『ここでみんなで育てようぜ!』

 

『何食べるかな』 『よし!給食のパン持ってこよう!!』

 

子猫である。パンなどまだ食べない。大人は理性的にそう考えるだろうが

 

そこは子供である。子猫が給食のコッペパンをモグモグ食べて元気になって

 

くれると、そこにいる誰もが思った。

 

『学校戻って、給食のおばちゃんにパン貰ってくるわ!きっとネコちゃん

 

お腹すいてるから!!』

 

この何の根拠もない発言に全員一致でウンウンと頷いた。それどころか

 

「メロスは必ず帰ってくる!!」と言わんばかりに見送った。

 

待てど暮らせど帰ってこなかった。

 

『あいつおばちゃんに怒られてるのかな?』

 

『いや、ひょっとしたらパン無くて、家に何か取りに戻ってるんじゃね?』

 

後日談。そもそもこの基地に全員集合した理由は、テストが帰ってきて

 

「一番合計点数の多かった奴がドングリを全部もらえる」という趣旨だった。

 

その為にドングリを一生懸命集めた事も、テストの点数を見せ合う事も

 

子猫の存在でみんな忘れていた。食べ物を取りに帰った彼は案の定、

 

給食のパンは残っておらず、サザエさんの「お魚咥えたどら猫♬」という

 

フレーズを思い出して煮干しを取りに帰ったところ、「テスト見せなさい」

 

と親御さんから半ば監禁されて集合場所に帰ってこられなかったのだ。

 

「秋の日はつるべ落とし」という。日も沈んで暗くなってきて、気温も

 

下がってきた。秘密基地では別の会談が開かれる。『どうする?』

 

『このままほっといたら死んじゃうかもよ?』『ええ、ネコちゃん可哀想じゃん!』

『じゃあ誰か持って帰る?』『・・・ウチ、アパートだから・・・』

 

『俺んち犬がいるから・・・』『私のとこお母さんが猫嫌いって言ってた』

 

紆余曲折を経て『じゃあ僕連れて帰るよ。僕んち長屋だし、お隣さんも猫いるし。エサ貰えるかもしれないし!!』

 

『おおーー!!!』と僕はまるでヒーローの様にパチパチと拍手を浴びた。

 

帰ってこない彼の事はもうみんな忘れている。今は子猫を連れて帰ることに

 

なった僕への称賛で、何だか誇らしかった。

   

どこのおじさんのランニングか判らない布ごと、僕はまるで水がいっぱい入った

 

器から水がこぼれない様に運ぶがごとく、慎重に両手で暗くなった帰り道

 

を歩いた。「あれ、ネコちゃんがおかしい・・」鳴かなくなってきた。

 

さっきまでミィミィと鳴いていたのに・・子供ながらに確実に弱っている

 

事はわかった。大切に抱えてそれでいて少し足早に家に向かった。

 

少し広めのどぶ川をピョンと飛び越え、裏路地を抜けると家までの近道だ。

 

僕はネコちゃんを大切に抱えたまま、親にみてもらおう!と近道で急いだ。

 

家に近づくにつれ、すっかり暗くなったにも拘らず家が何だか変に明るい。

 

何だろう?経験のない明りにちょっと心躍らせながら家に近づくと黄色い

 

ヒモがはってあり、家に入れない。なんだこの通せんぼは?その周りを

 

沢山の赤い光がピカピカしている。「パトカーだ!!」僕は小躍りして

 

喜んだ。毎日お手伝いして5円を貯めて、トミカのミニカーを買った

 

(実際には買ってもらったのだが)くらい、僕はパトカーが大好きだ。

 

しかも綺麗な赤いライト(赤色灯)が回っているのを見たのは初めてだ。

 

『かっっけーー!!!』←格好いい と目をキラキラさせて近づくと警察官

 

に止められた。『ああ、ぼく。この黄色いヒモの中入っちゃだめだから。』

 

周りを見ると黄色いヒモの周りを囲むように大人たちがいっぱいいた。

 

野次馬ってやつだ。そんな事も知らない僕は憧れの眼差しで警察官に言う。

 

『おまわりさん、でもこれじゃ家に入れない。』今でも覚えている。

 

その一言で周りの大人たちの空気が一変した事を。これは子供でも分かった。

 

図書室で読んだことがある。神様がエイヤ!と杖を振り上げると、海が割れ

 

道ができる。そんな感じに大人達がササーと両脇に離れて道ができた。

 

僕は本を読むのが好きで図書室にはよく通っていたから国語の点数は

 

いつも満点だった。結果ネコちゃんの事があったので忘れておいて来てしまったが

 

ドングリは僕が全部もらえる!という点数だった。あの本の様に道が

 

できたものだから、まるで神様にでもなったようにちょっと嬉しかった。

 

『そう、ここの家の子?君名前は?』『かざま りゅうじ です!!』

 

ここでも褒めてもらいたい気分で元気よく答えたのだが、警察官は暗い

 

顔をして『ちょっとこっちに来てくれる?』とネコちゃんを持った僕の

 

手を引いて黄色い線の中に入れてくれた。『それ、何持ってるの?』

 

『秘密基地で見つけたネコちゃんです。弱ってるからお父さんとお母さんに

 

見てもらおうと思って帰ってきました!』『そっか。パトカー乗ろうか』

  

見るだけでも嬉しいのにパトカーに乗せてもらえる!何てラッキーな日だ。

 

そしてきっとおまわりさんがネコちゃんを助けてくれるんだ!!そう

 

思いながらウキウキとパトカーの後部座席に座った。テンションMAXだ。

 

いろんな見た事ない機械がいっぱいパトカーの中にはあった。無線で

 

ゴニョゴニョ言っているのも聞こえる。嬉しくなって後部座席に座って

 

運転席側の機械をジロジロ見渡していた。ふと車外に目を向けると

 

大人たちがこっちを見ている。『ふふん、うらやましいんだな?』

 

憧れのパトカーに乗ったという優越感が僕をおかしな気分にさせていた。

 

『 大変な勉強ともサヨナラ!!心理学に基づいたこの考え方 をマスターすれば、学校の成績 も確実に UP する ! その考え方とは』 のこたえ!!!|りゅうこころ ryukokoro|note
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